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千歳がリビングを出たのを耳で確認した後、唯は振り返る。そこには誰もいないけれど、どんな顔をしてそばで立っていたのだろうかと想像した。
寝室に入った唯は、その光景に思わず後ずさりした。
部屋全体はベージュ系の落ち着いた雰囲気の壁や床、照明は柔らかい光を放っている。
マンションにあるベッドよりも大きなベッドがあることはいい。元から、そうだろうなと想像はついていた。
けれど、サイドテーブルには何本かミネラルウォーターやスポーツドリンクが用意されている。寝室ではなく、トレーニングルームにでも入ったかと思った。
(いやでも……今までも、千歳さんに触られていると喉、乾いたなって思うことあったし……)
準備するに超したことはない。ないのだが、用意が本気すぎる。
これが千歳以外の一般人男性であれば、やる気がすごいとすこし引くだけに終わるのだが千歳である。爽やかで上品で、欲情している姿など見たことがないし、想像することすらできない。そんな男性の寝室にミネラルウォーターとスポーツドリンクが用意されている。
(痛いの我慢する時とか、だいたい冷や汗出るから……うん……)
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