第4章 終わりの日(3)

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 そういうことなのかもしれない。唯は考えることを止めて、ベッドに近づいた。キングサイズのベッドに触れる機会などない唯は、せっかくだからと一人で横になってみようと考える。  じっと待っていても緊張するだけなのだ。  しかし、掛け布団をめくって目を瞬く。  何だろう。  そんな気持ちで、それを眺めること数秒。 「そりゃあ、あった方が安心だけど! でも、バスタオルって!」  思わず叫んだ。  ベッドで寝た際、ちょうど腰辺りに来るであろう位置にバスタオルが敷かれていた。  唯は処女だ。きっと出血があるかもしれないから、血が布団に付着するだろう。そうなれば唯は終わった後、シーツに付着した血を取ろうと手洗いするつもりだった。千歳は気にしないかもしれないが、唯は恥ずかしいから。  しかし、その解決策がバスタオル。 (正しい……正しいけど、たぶん千歳さんと一緒にベッドに入ったら気づかないで終わっていそうだけど……)  それでもこの居たたまれなさはなくならない。
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