第4章 終わりの日(3)

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 一人でキングサイズのベッドを楽しむ余裕をなくした唯は、部屋の隅に置かれているチェアに座る。もういい。サイドチェストもベッドのそばにあるが、見ない。絶対に見ない。探れば探るほど、疲れるのは目に見えていた。変なところで気力を消耗したくない。 (これ……きっと真面目に考えて用意したんだろうな……)  一体どこからその知識が出たのだろう。唯は千歳しか知らないが、前戯はきっと上手だ。商談でも心理戦に長けているから、様子を見ながら良い場所を探し当てることくらい簡単だろう。 (つまり、それくらい冷静に……触っているんだろうな……)  千歳の早鐘のような鼓動を一度は聞いた。けれど、その鼓動だけがすべてではない。 (もうすこしで終わる……)  抱えている感情が、膨らみ続けているのを止めることができる。恋人関係でさえなくなれば、夢の中から目が覚めてその感情も萎み続けるだろう。 (秘書、辞めてしまおうかな)  次に千歳のお見合い話が来たら、唯は平静ではいられそうになかった。当然、そばで見守ることなんてできない。
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