第4章 終わりの日(4)

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 千歳が何を言っているのか分かった唯は、赤面しながらもどうしていいのか分からなかった。自分の意思でどうにかできるものなのだろうか。 「覚えておいた方が後が楽かなって思ったんですけど、すぐにはできないですよね」  駄目元で聞いたらしい。  なら、このままでもいいのだろうか。唯はそう思ったが、一度そういうことができるのだと知ると、意識してしまう。緩めることができれば、これから訪れるであろう痛みもすこしは弱まるかもしれない。  最初はまったく分からなかったが、千歳の指に集中しているとすこしずつ理解していく。 (私、すごく締め付けてた……)  これでいいのだろうかと徐々に腰に入っている力を弱める。  しかし、そうすると千歳の指がさらに奥深くに入ってしまいそうで唯はまた力を込めてしまう。 (無理……! やっぱり、怖い……) 「さっき、できてましたよ」  褒めるように唇を啄まれ、唯は泣きそうになった。これではできないなんて言えない。 「頑張って」  艶やかな吐息と共に甘い声で囁かれながら、唯はもう一度力を緩める。 「あ……ぅ」
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