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きっと大丈夫なのだろう。そう思いながらも、唯は聞いた。逆に小指だけでここまで時間がかかっているのだ。萎えてできないということも有り得る。そう心配する唯に、千歳は瞳を揺らす。
「こういう時、大丈夫って言えたら良かったんですけど」
熱のこもった視線が唯にじっと向けられる。
「全然、大丈夫じゃなくて……辛い、です」
恋人でなければ絶対に聞けなかったであろう弱音。千歳の目は蕩けており、吐息さえ苦しげに聞こえる。
そんなに辛いのか。唯は千歳の状態を確認しようとしたが、すぐに阻まれる。
「見るのも触るのもだめです」
「気になって……」
「暴かれてしまったら、唯が痛いって泣いても我慢ができなくなります。そんなこと、したくないですから」
「分かりました」
唯は俯きそうになるのを堪える。見てしまえば、言葉通り唯の体を貫いてしまうのだろう。裏を返せば――痛くても良いから欲しいと思うなら暴けば良いという意味にもなる。
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