第4章 終わりの日(4)

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(せっかくお風呂に入ったのに……)  唯の全身は薄らと汗をかいていた。体の中に指が一本挿っているのが不思議すぎる。もうすでに大仕事を終えたかのような境地になりかけるが、悲しいことにここからが本番だ。 「そろそろ……大丈夫そうですか?」 「は、はい」  きっと大丈夫なはずだ。このままゆっくりと進めていけば、問題なく処女を卒業できる。  千歳が中指を引き抜くと、薄ピンクの液体が糸を引いていた。下半身を見ないよう、千歳が言っていたおかげで唯はその事実に気づくことはない。見てしまったら混乱して、ないはずの痛みを感じ取ってしまうかもしれない。 「確認なんですけど、極力、痛くない方法でいいんですよね」 「はい」 「それ以外はとくに希望はなくて」 「そうです……けど?」  何故、ここで確認を取るのか。  今までの経験上、どうにも嫌な予感がする。 (あれ……?)  とても見たことがある光景だ。  千歳はよく、大事なことは念を押して確認する。  相手が悲惨な目に遭うなら、絶対に。  具体的には言わないが、確認する。
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