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第4章 終わりの日(5)
確かに効果はある。唯も最初は、道具に頼ろうと思った。
しかし、どうすればいいのか分からず、とりあえずそのまま挿入しようとして激しい痛みに襲われた。皮膚が裂けるような痛みに耐えられるはずがなく、それどころかトラウマになっていた。今思えば、まったく解しもせずに行った唯が無謀である。
「あ……あの、でも恋人って……」
「でも、唯は痛いのは嫌でしょう? 俺だと唯が止めて欲しい時に、止めることができないんです」
千歳に悪いところは何もなかった。
ないのに、唯は彼を責めてしまいそうになる。
「それに、俺と唯は仮の恋人です。本当の初めては、いつか好きな人ができた時のために取っておいてください」
どこまでも優しい言葉は、しかし今の唯には残酷だった。
うまく返事ができずにいると、千歳はコンドームを破り自分ではなくバイブにコンドームを被せる。ローションを含んだゴムは滑りが良さそうだった。唯の秘所も充分に潤っている。後は受け入れるだけだ。
「唯?」
「う……」
「足を閉じられると、挿れられないです」
泣きそうな気持ちで唯は千歳を見る。けれど、彼の方が寂しそうに眉を寄せていた。
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