第4章 終わりの日(5)

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「唯」  もう一度、名前を呼ぶ。今度はたしなめるような口調だった。  唯は肩を跳ねさせ、そして足をすこしだけ開く。 「そんなに怖がらなくても大丈夫です。唯のペースに合わせて進めますから」  彼女の中にある困惑を、千歳は知っている。だから先端を秘所に合わせるだけに留めた。 (どうして……)  千歳は初めては好きな人ができた時にと言っているが、そんなのは気休めだ。  彼は唯に初めてのことをたくさん教えてくれた。  女性として扱われる悦びも、体も心も守ってもらえる安心感も、恋人として優先してもらえる愉悦感も――全部、千歳が教えてくれたのに。  最後の最後で、拒まれる。  正確には、千歳は拒んではいない。  ただ、唯の希望を叶えようとしているだけだ。その気持ちが純粋かどうかは別として。  嫌なら言えばいいだけだった。  けれど、その言葉を言ってしまえば唯はもう感情が風化するなんて思えない。だから言わずにいたかった。  ……それでも、言わないのならこのままバイブでことを済ませるのだろう。 「泣かないでください」 「泣いて……ない……です……」 「辛かったら、目も耳も塞いでください」
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