第4章 終わりの日(6)

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第4章 終わりの日(6)

 別荘の外でパラパラと何かがぶつかる音がした。昼間はあれほど天気が良かったのに、雨が降り始めている。冷たいのに、どこか優しさを孕んだ雨音。  覚悟を決めて待っていた唯は、まだだろうかとビクビクしていた。股の間にピタリと当てられたバイブはそのままだ。もしや自分から腰を寄せた方がいいだろうか。 (千歳さん、優しいから……)  もちろん優しいだけではなく、相手のためにすこし……いや、かなりスパルタな面もあるが。 「俺は唯が欲張りになって欲しいのに」 「……もう充分、欲張りだと思うんですけど」 「足りないです」  唯にとっては、この状況自体が贅沢である。 「もっと欲張って」  いいのだろうか。これ以上を望んでも、迷惑ではないだろうか。  唯はそっと視線を持ち上げる。その視界にしっかりと千歳を収めた。  くっきりとした目鼻立ち、薄い唇は笑みの形を作っている。けれど頬も耳も赤く、額には薄らと汗が浮き出ていた。そして瞳は向けられた人を蕩けさせるほどの熱を帯びて、求められているのが伝わってくる。  今まで唯は必要とされることが嬉しかった。
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