第4章 終わりの日(6)

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 一枚、二枚、三枚……とコンドームを置いていく。 「そんな……そんなに使いますか」 「使います」  ぺりぺり、と正方形の包みがさらに増える。 「千歳さんは……その、そんなに……?」 「唯が痛まないように我慢するので、痛みがなくなったら付き合ってくれますよね」 「あ……あ、ええと……頑張ります……」  いや、頑張れるのか。  本気か。  思わずサイドテーブルにある水とスポドリを見る。そして腰に敷かれたバスタオルにも意識が向いた。  本気も本気。真面目に用意していることに気づいた唯はものすごく混乱した。 「あの、千歳さんもしかして……」 「どうかしましたか」  言いながら、千歳の手は止まらない。箱の中にあるすべてのコンドームを個別にして、いつでも取れるように枕の横に置いている。  顔の横にある山盛りになったコンドームの圧がすごい。 「最初から諦めるつもり、なかったんじゃ」  あまりに準備が良すぎる。そういうことになると分かっていたかのようだった。 「まさか。唯に選んでもらえなかったら、諦めましたよ」
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