第4章 終わりの日(6)

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 そうして唯は千歳の言葉を信じて、半分涙目になりながら千歳の肩を噛んだり舐めたりして痛みに耐えた。当然、まったく『もうすこし』ではなかった。途中でもう挿らないと訴えかけたが、千歳は唯の頭をよしよしと撫でる。最終的には何故か全部挿っていった。  これでようやく処女を卒業したというのに、達成感がない。体がそれどころではないのだ。  千歳の肩が離れた唯は小言を言いかけ、ぎょっとする。 「千歳さ……大丈夫なんですか!」  唯が噛んでいた肩は真っ赤になっていた。くっきりと歯形もできており、薄らと血が滲んでいるようにも見える。 「あっ、……唯、今……締める、のは」 「え?」  千歳の頭がくたりと枕の上に倒れる。 「千歳さん、ごめんなさい。痛いですよね? 傷が残ってしまうかもしれないですから、手当てしましょう」 「やっと全部挿ったのにお預けされるんですか」 「そんなつもりではなくて、でも……」  心配だと唯は千歳を見る。枕に顔を埋めたまま、苦しそうに呼吸を繰り返していた。 「苦しそうなので、一旦、抜いた方がいいんじゃ」
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