第4章 終わりの日(6)

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 ない。 「別に隠していたわけではないんです。でも唯は初めてだから、知っても不安になるだけですし……後、遠慮しそうだなって」  決して悪い意味での遠慮ではない。恋人になったばかりの唯であれば、自分が初めてなんて恐れ多いと逃げそうである。 「でも、色々と詳しいじゃないですか!」 「調べたんです。とくに役に立ったのはAV男優が書いた本ですね。AVと実際のセックスについての違いや女性の体について……」 「い、言わなくていいです! 言わないで!」 「気になるなら、今度紹介しますよ」 「いいですから」  千歳は難解な論文について語るかのような口調で猥談を始めたので、唯は必死で止めた。ただ、脳裏では千歳の話す本がちょっと気になっている。今度、千歳の部屋にある本棚を調べよう。普通に一般的な本と共に並べられている可能性が高い。帰ってからの予定を立てる。 「そろそろ、動いても大丈夫そうですね」  呑気に話をしているうちに、唯の体は不思議と余裕ができていた。千歳を受け入れるのがギリギリだった肉壁は、もうすっかり彼の形を覚えている。 「は……はい……」
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