第5章 全部あげたい(1)

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「仕事と関係ない話なら、いいだろ」 「そんなに大事な話なんですか」 「大事というか、千歳がただの休暇を過ごしているならいいんだが……一年くらい前に傷心中だからって言って軽井沢の別荘を買っただろう? そこで休暇を過ごすなら何かあったんじゃないかって心配になるだろ」 「最初に話した時、信じてなかったじゃないですか」 「半信半疑だっただけだ。何もないならいい。怪我とかしてないか。襲われただとかそういうことはないよな? よく分からない逆恨みを買ってナイフで刺されて療養中とか」 「俺を何だと思っているんですか」 「悪魔……あっ、平気か。電話かける必要なかった、悪い」 「それより、お見合いの話はどうなりましたか」  ものすごく失礼な納得の仕方に、千歳は馬鹿らしくなって話題を変える。 「それならしばらく見合いはしなくていいことになった。見合いを勧めてきたくせにあのジジイ、すごい怒ってたけど何かしたのか」
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