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「俺は何も。ただ、お見合いの様子でも見てもらおうかなって、会長に時間があれば見に来ますかって誘っただけです。それでたまたま相手の女性が俺を罵倒してきたり水をかけたりしたので、それを見て怒ったんだと思いますよ。会長のおかげで、お見合いの面接はすぐに終わりました」
「……聞いてないんだが」
「聞かれてないので」
「まあ、あのジジイ、千歳のこと孫可愛がりしてるからな。今頃、東城に何かしてるんじゃないか」
「お見合い相手だった女性が焦って会社に乗り込んで来るほどですから、それなりのことはあったんじゃないですか。俺は興味ないので、何があったのかは知らないんですけど」
「……なあ、それも聞いてないんだが」
「聞かれてないので」
電話越しに達也が項垂れる気配がした。「俺は社長のはずなのに」とボソボソ呟いている。
「それより、お見合いの面接なんですけど、またやることになっても俺はもうできないのでこれからは一人で頑張ってください」
「まあしばらくは結婚の催促もないとは思うが、そのうち復活するだろう……」
「恋人がいるのに、女性と二人きりで食事ってしたくないんです。そろそろ誤解も解いておきたいし」
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