第5章 全部あげたい(1)

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 達也からの電話を切った千歳は、時間を確認する。唯はまだ眠っているだろう。昼までは寝かせてあげたいからと、千歳は台所に立った。  作るのは朝食兼昼食である。  冷蔵庫の中を確認して、何を作ろうか思案する。和食を作る材料はないので、サンドイッチにしようと食パンを取り出した。  ゆで卵ができるまでに、手際よくパンを切り、レタスを千切る。瑞々しい真っ赤なトマトも包丁でさくさくと輪切りにしていた。  その姿は──とてもではないが、料理のできない人間には見えなかった。
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