第5章 全部あげたい(2)

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 唯はどこのサンドイッチだろうと思いながら、ゆっくりと味わった。パンが美味しいのはもちろん、具の配分が絶妙で食べやすかったのだ。  食後にコーヒーを飲み、唯はようやく頭がすっきりする。  別荘での休暇は今日で終わりだ。夕方にはここを出る予定で、明日からは仕事が待っている。 (もっと過ごしたかったなあ)  物足りない、と唯が思うのは今日はもう観光できそうにないからだ。外を出歩ける体力がない。食事をする元気は戻ったので、唯は千歳が買ってくれたイチゴのタルトを食べながら窓の外の景色を眺めるだけに留める。 「唯、明日なんですけど仕事は休んでください」  ぽかぽかと日差しを浴びていると、隣にいる千歳が思い出したように話す。 「明日には体調が戻ってると思うんですけど……?」  仕事くらいはできるようになっているはずだと、唯は千歳を見る。 「そうではなくて、病院に行ってきてください。一応、体を診てもらった方がいいと思うんです」 「仕事が終わってからでも行けますよ」  千歳は相変わらずだと微笑み、首を横に振った。
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