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「仕事も、病院での診察も、どちらもこなすのは今の唯には辛いでしょう。俺のせいでもあるんですけど、無理をしないで」
「わ、分かりました……」
頷くと、千歳は嬉しそうに破顔する。
「それと、俺と唯の関係なんですけど」
言いながら千歳はリビングにあるテーブルの引き出しからジュエリーケースを取り出した。
「もう恋人の契約期間は終わったじゃないですか」
「そうですね」
あまり実感はないが、これから薬を飲まなくてもいいはずだ。一度や二度ではなく、何度も体を重ねている。万が一ということもないだろう。
「これはそのお祝いです。喜んでもらえるといいんですけど……」
千歳がジュエリーケースを開く。そこにはハートの形にカットされたアクアマリンのネックレスがあった。透き通るような色をした石は、千歳によく似ている。甘すぎず、使いやすいデザインに唯はもらってもいいのだろうかとアクセサリーと千歳の顔を見比べる。
「嬉しいです」
「着けてみますか?」
「はい」
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