第5章 全部あげたい(2)

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 こんな風に首輪のようなものを与えておいて、彼の内側から放り出されてしまうのはあんまりではないだろうか。どうせ手放すつもりも諦めるつもりもないのに。 (……昨日、お酒を飲ませてもらえなかったのは脱水状態になるからってだけじゃなかったのかも)  千歳が何か行動する時、その理由が一つとは限らない。  彼は翌朝、唯に『酔っていたせいで』などという言い訳を封じるために飲ませなかったのだ。好きな女性を落とすためなら、お酒を使ってでも肉体関係を持とうとする男性とは正反対である。  それに気づいた唯は、ならば一度恋人関係を解消する理由にも思い当たった。 (これから先、千歳さんのそばにいられないなんて考えなくさせるため……とか?)  ようやく想いが報われた翌日に生殺しの目に遭わせるのは、あまりに容赦がなかった。なのに唯はもう嫌だと千歳を拒否できない。彼の行動は、裏を返せば一日我慢してでもこの先ずっとそばにいたいのだと思ってくれているということだ。  分かってしまうと、唯は泣けばいいのか喜べばいいのか分からなくなった。
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