第5章 全部あげたい(3)

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 ためになったと話していたので、参考にはしているのだろう。どの辺を参考にしたのかは非常に気になるのだが、今は見ないでおこうと部屋を閉める。  そうこうしているうちに、夕方になり、唯は今まで作った夕飯よりも豪華にしようと気合いを入れた。もう一度、改めて告白をするのだ。千歳に高価なものを渡すよりは、時間をかけて何かを渡す方が喜んでくれるだろう。 (使う食材は……千歳さんの冷蔵庫からなんだけど)  唯は自分で買おうと思っていたのだが、冷蔵庫を確認するとまた食材が増えていた。使わなければもったいないので、追加で買い物をするなんてできるはずがない。これも千歳が計算してやったことなのか。彼は天然ではあるのだが、どれが天然で、どれが計算なのか。判断できるのは千歳本人だけである。  さて、何を作ろうかと考えながら、唯はご飯を炊く用意をした。 (和食の方が喜んでくれていたような……)  千歳はどの料理も美味しい美味しいと言って、味わって食べてくれる。けれど、唯が見限り、和食の方が表情が柔らかかった。 (豪華な和食……)
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