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第5章 全部あげたい(4)
「私、すこし疲れてしまったみたいで……千歳さんは先に夕飯を食べていてください」
もしかしなくとも、自分も例外になってしまったと気づいた唯は部屋に戻ることにした。これでは告白なんてできない。
「疲れているなら、俺も唯のそばで休みます」
「でも」
「唯が頑張って作ってくれた料理を一人で食べるのは寂しいです」
「……ごめんなさい」
「立つのも辛いでしょう? ベッドに行きましょうか」
千歳は唯の腰を掴んだまま、彼女に合わせてゆっくりと歩く。唯の自室にあるベッドに寝かせると、薬はどこか聞いた。
「いつも使っている鞄の中に、もらった薬が入ってます……」
唯はまさか使うことはないだろうと、もらったまま鞄に入れていた。
千歳は薬が飲みやすいように水の入ったコップと一緒に渡す。
熱で体が辛いことよりも、まだ千歳と恋人になれないことも方が唯は辛かった。
「薬の効果が出るまで、このままだと苦しいですよね。パジャマに着替えてしまいましょうか」
「はい……あ、だめ」
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