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「だって、全部終わってないじゃないですか」
こういうことで妥協する人ではないと、唯は知っている。決めたのならば貫き通す人だ。唯も告白するなら、後ろめたいことなど何もない状態で告白したい。
「今、話したら……体目当てみたいで……」
「でも、どうせ付き合ったらするでしょう?」
「それは……そう、なんです……けど……」
千歳としては、問題ないのだろうか。
「恋人になるかどうか、考えて欲しいって言ったのは俺ですけど……本当は一日だって待ちたくないんです。なので、唯――」
熱で赤らんでいる唯の耳にそっと顔を近づける。
千歳は、いたずらっ子のように目を細めて言った。
「――治ったってことにしましょう」
「へ」
まさかのずる。隠蔽。捏造。
「恋人同士になって、毎晩愛し合っていたら気づかないことでしょう? なら、問題ないですよね」
「え、でも」
唯は熱も手伝って頭がぐるぐるした。
「これはもう毎晩、しなさいっていう天啓なのかもしれないです」
「いえ、そんな」
「唯、気持ちいいのは好きですよね」
「好っ……!」
何故か千歳によって唯はどんどん熱が上がっていく。
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