第5章 全部あげたい(4)

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「だって、全部終わってないじゃないですか」  こういうことで妥協する人ではないと、唯は知っている。決めたのならば貫き通す人だ。唯も告白するなら、後ろめたいことなど何もない状態で告白したい。 「今、話したら……体目当てみたいで……」 「でも、どうせ付き合ったらするでしょう?」 「それは……そう、なんです……けど……」  千歳としては、問題ないのだろうか。 「恋人になるかどうか、考えて欲しいって言ったのは俺ですけど……本当は一日だって待ちたくないんです。なので、唯――」  熱で赤らんでいる唯の耳にそっと顔を近づける。  千歳は、いたずらっ子のように目を細めて言った。 「――治ったってことにしましょう」 「へ」  まさかのずる。隠蔽。捏造。 「恋人同士になって、毎晩愛し合っていたら気づかないことでしょう? なら、問題ないですよね」 「え、でも」  唯は熱も手伝って頭がぐるぐるした。 「これはもう毎晩、しなさいっていう天啓なのかもしれないです」 「いえ、そんな」 「唯、気持ちいいのは好きですよね」 「好っ……!」  何故か千歳によって唯はどんどん熱が上がっていく。
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