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「ご飯はここで食べましょうか。用意してきますね」
千歳は唯の頬に軽くキスをすると、部屋を出て行った。流れるように行われたスキンシップに、唯はこんな調子ではなかなか熱が引かないと唸った。
「じゃあ、唯。あーんしましょうか」
「いえ、もう食べられますから」
ベッドから起き上がれるほどに回復した唯は、今回ばかりは千歳の申し出を断った。
今は恋人になったばかりである。
本来であれば、唯は千歳に尽くそうと計画していたのだ。それなのに、逆に尽くされている。こんなつもりではなかったのに、と温めなおしてもらった料理を口に運ぶ。
食べさせたがっていた千歳は、断られた後はあっさりと引いて「美味しいですね」と言いながら椅子を置いて座って食べていた。
そうしてとりとめもない話をしながら、夕飯を食べ終える。
ご飯を食べた唯は、体に残っていた倦怠感がすっかり消え去ったので、千歳に促され先にお風呂へ入ることにした。熱が出た際に、全身が薄らと汗をかいていたので、すぐにでも清めたかったのでちょうどいい。
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