第5章 全部あげたい(5)

9/15

235人が本棚に入れています
本棚に追加
/280ページ
 唯は最初に千歳を受け入れた時の痛みを思い出す。だが、その痛みはもうないと予感していた。 「もう必要ないですよね」  千歳は唯が顔を埋めている枕を奪い、上半身を抱き寄せる。抱きしめるなら自分がいいと主張するかのようだった。額が触れるほど顔も近づけ、笑みを零す。けれど唇が唯に触れることはない。 「……キス、しないんですか?」 「嫌かと思って」  唯が汚いからと言っていた場所を千歳は綺麗だからと舐めていた。彼は気にしないが、唯は嫌かもしれないと思ったらしい。 「嫌じゃないです」  体を繋げているのに、キスの一つもできないなんて寂しい。  先っぽを埋めただけの千歳に腰を寄せ、唯は悶えて震える唇を彼に押し当てた。 「……っン」  腰の角度を変えたせいだろうか。唯の中でぬぷりと勢いよく膣内が開かれる。不意の出来事に、彼女の両膝はガクガクと揺れた。まだすべて挿ったわけではないのに、先に良くなってしまっている。 「本当だ。あんなにしたのに唯の中、だいぶ狭くなってますね。辛くないですか」 「んぅ……ん、大丈夫……です」 「痛くない?」 「は、はいっ……だから、あの、もっもう全部……?」
/280ページ

最初のコメントを投稿しよう!

235人が本棚に入れています
本棚に追加