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唯は頭がふわふわしながら、千歳を抱きしめる。彼女らしくない緩んだ唇は普段よりも甘い音を孕んでいた。
「千歳さん……好き」
蕩けきった表情を見た千歳は、すこしではなく貪るように食べることになりそうだと思いつつも行為を止めることはない。
「俺も唯が好きです」
唯は耳まで真っ赤になりながらも、返ってきた声が嬉しくて無防備な表情をする。
その笑みに、千歳の顔がピタリと固まった。けれどすぐに元に戻る。
「んぅ……ンっ、千歳さん……っ」
唯が千歳を気持ちよくしようと手探りに行動を起こす。もう痛くはないからと、彼の屹立を意識して締め付け、できる範囲で腰を動かした。
「……っ、唯」
切なく喉を鳴らす音に、愛おしさが募っていく。
余裕のあるふりをすることだってできるのに、隠さないで見せてくれる。
(千歳さんが……恋人……)
これからは、いつか千歳の隣を歩く女性のことを考える必要はない。自分では絶対に勝てないと、比べる気すら起きないほど非の打ち所のない女性が千歳の恋人だったら、なんて思うこともないだろう。
「はぁ……っ、千歳さん……」
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