第5章 全部あげたい(6)

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「達也には俺たちのことを話したので、そのせいだと思います。今後はお見合いの面接をしないって伝えたんですけど……秘密にした方が良かったですか?」 「いえ、お見合いをしないためなら……?」  あれ、と唯は千歳の言葉をもう一度思い返す。 「お見合いの、面接?」  それはお見合いではないのか。 「達也のお見合いの面接です」 「千歳さんはお見合いしてなかったんですか?」 「そういうことになりますね」 「でも、お見合いの面接だとは……聞いてないんですけど」 「そうですね。面接とまでは言ってないですね」  千歳は悪気もなくふわふわと笑っている。 「…………どうして言わなかったんですか」 「言わなくても問題はないし、その頃の唯にとっては、色々とちょうど良かったでしょう」 (あ、あー……)  唯は察した。  その頃からすでに唯の警戒心を解くために動いていたのか。 (執念……)  内心で呟きながらも、唯は安心してしまう。そうか。お見合いはしていない。 「じゃあ、千歳さんのお見合い相手ではなかったんですね」
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