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「達也には俺たちのことを話したので、そのせいだと思います。今後はお見合いの面接をしないって伝えたんですけど……秘密にした方が良かったですか?」
「いえ、お見合いをしないためなら……?」
あれ、と唯は千歳の言葉をもう一度思い返す。
「お見合いの、面接?」
それはお見合いではないのか。
「達也のお見合いの面接です」
「千歳さんはお見合いしてなかったんですか?」
「そういうことになりますね」
「でも、お見合いの面接だとは……聞いてないんですけど」
「そうですね。面接とまでは言ってないですね」
千歳は悪気もなくふわふわと笑っている。
「…………どうして言わなかったんですか」
「言わなくても問題はないし、その頃の唯にとっては、色々とちょうど良かったでしょう」
(あ、あー……)
唯は察した。
その頃からすでに唯の警戒心を解くために動いていたのか。
(執念……)
内心で呟きながらも、唯は安心してしまう。そうか。お見合いはしていない。
「じゃあ、千歳さんのお見合い相手ではなかったんですね」
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