第5章 全部あげたい(6)

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「そうですよ。達也の結婚相手ともなると、俺を前にしてもぐらつかない人でないと困りますから。事前に修羅場に巻き込まれないかどうか、見ていただけです」 「……千歳さん、それってハニートラップみたいな感じが……あの、えっ」  安心していたのに、途端に不安になった。 「お見合いの面接って何をしたんですか」 「気になるんですか」 「お話しただけなんですよね」 「そうです。お話をするだけです。唯は何を心配しているんですか」 「千歳さん!」 「大丈夫。唯が嫌がるようなことは何もしていませんよ」 「……それなら、いいんですけど」  千歳がそう言うのだから、おかしなことはしていないのだろう。ただ話をして、どういう人間なのか知るために質問をする。それだけで千歳の方にころりと落ちてしまうのなら、断った方がいいだろう。 「まあ、でも……そうですよね」
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