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1 救世主はメロンパン
どこからか聞こえてくる、チチチ、というさえずり。
その音につられたからか、瞳がうっすら開く。
視界には畳が映り、まだ少し残るイグサの香りが鼻をつく。うつらうつらと顔を上げれば、カーテンの隙間から差し込む日差しがキラキラと輝いていた。
麻央は布団から出て、その光のもとに向かった。カーテンを引いて窓を開け、身を乗り出す。
外には大量の木々が並んでいる。道向かいには誰かが植えた沈丁花が花をつけていた。
目を閉じて朝の空気を胸いっぱいに吸い込み、麻央は思いのままつぶやいた。
「焼きたてパンが食べたいぃぃ……」
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