2 ご褒美のあんぱん

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「お疲れ様」 「ほんっとに疲れました……」 「あの子らパワフルだからなぁ。でも、みんなうれしそうにしてたよ。ありがとうな」 「まぁ、私も楽しかったから来て良かったです」 「それは良かった」 麻央は額に乗せていた腕をどけ、目を開ける。すると楽しげに覗く間宮と真正面から目が合った。 気まずさに麻央は、視線をさまよわせ、疲弊する体を慌てて起こした。 「どうした?」 「いえ、別に……」 「そ? じゃ、帰ろっか」 間宮は近くに置いていたコンテナを抱え、車へ戻っていく。途中で振り返り、「ほら、行くよ」と呼びかけられる。 麻央は立ち上がり、彼の姿を追いかけた。 助手席に乗り込みシートベルトを付けると、トランクに荷物を乗せた間宮も乗り込んでくる。 「良かったら、この後買い出ししていく?」 間宮はシートベルトを装着しつつ問いかける。その提案に麻央は思わず笑顔で間宮のほうへ顔を向ける。 「いいんですか!? 助かります。今日こそは買い物しないとと思ってましたから」 「でないと、また俺の家に物乞いに来ないといけないもんな」 間宮はまたこうやっていじってくる。 麻央は目を細め、じとっと間宮を睨みつけた。 「そうですね。また体で支払わないといけなくなっちゃう」 「はは。ホントそれな」 笑い事じゃないけど?と思いながら、笑う間宮を見て、麻央も口もとを緩めた。 「どこの店がいいとかある?」 「どこでも大丈夫ですよ。というか、あんまり詳しくないんです。いつもは駅のバス停で降りて、近くのスーパーに行っちゃうので、他のお店には行ったことがなくて」 「そう。じゃ、今日は別のところに行ってみようか」 彼はエンジンをかけ、車を発進させた。 窓の外を見ると、子どもたちが施設の窓を開け、そこから顔を出して手を振る姿が見えた。 麻央も窓を下ろし、よく見えるように大きく手を振る。 「お姉ちゃん、またねー!」 「うん! また遊ぼうね!」 子どもたちは、車の姿が見えなくなるまで、手を振ってくれていた。
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