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いや、それよりももっと気になることを思い出した。
「ところで・・・貴方は何者なの・・・?話すことに驚きを隠せないのだけれど・・・。それに、さっき私を『主』と言ったわね。」
「何者か・・・難しいことを聞く。私は私でしかないが・・・そうだな・・・ヒトの言葉を借りるなら『精霊』に近い存在というところだな。」
「精霊・・・?!こんなにはっきりと存在しているのに・・・?」
「そうだ。この森に宿っている光の精霊の加護を受けてから、このような身体になった。」
「精霊というならば、名前はあるのかしら・・・?その・・・なんて貴方を呼べば良いのか・・・。」
「名は無いな。名付けてくれるヒトがいなかったからな。ようやく主と呼べるヒトが現れたのだから、主に名付けてもらいたい。」
『ようやく』というところに引っ掛かりを感じたが、もう何を考えれば良いのか分からなくなったカティは一旦聞き流すこととした。
「私が名付けるの・・・?!名前は大切なものだから安易に付けることは出来ないのだけれど・・・『ゼン』はどうかしら?」
ペットなども飼ったことが無いカティは、名付けることが初めてだ。
そうなると、やはり何かを意味する言葉を使いたいと思ったところ、『ゼン』という言葉はどこかの国の言葉で『善いもの』という意味を持つことを思い出した。
「ふむ・・・『ゼン』か・・・。良いな、覚えやすくもある。」
「気に入ってくれたようで良かったわ。私は、カティ。カティア=ラングレイと言うわ。改めて、よろしくねゼン。」
「主は主なんだが・・・了解した。自己紹介も終わったなら、ひとまず主が休めるところに移動しよう。」
ゼンがそういうと、背中に乗れと言うように頭を下げてカティを促した。
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