ガイアの森に住む獣

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ゼンに促されて向かった先には、小さな小屋があった。 恐る恐る中に入ってみると、生活感はないものの綺麗に保たれているようだった。 中には、小さなテーブルとイスがそれぞれ1つずつ、それとキッチンがある。 奥にはベッドが置かれており、生活するには充分な家具が揃っていた。 「(思っていたより色々と整っているのね・・・。)」 カティは一通り部屋の中を確認して、イスに腰を下ろした。 「さて・・・と、色々と聞きたいところなのだけれど・・・。何から聞けば良いのかしら・・・。」 「主は何故ここに来たのだ?ここは特殊な結界が張られていて、早々入れないようになっていたはずだが・・・。」 「何故・・・と言われても・・・。誘拐されたところから逃げてきて、必死に走ってきたらこの場所が目の前に出てきたのよね。」 「ふむ・・・。この場所は光の精霊によって守られていて、外からは森が続いているように見えていると聞いていた。ただ・・・。」 「ただ?」 「主となる者がこの森を訪れたら森は開く、と聞いていた。」 「誰から?」 「光の精霊。」 「ゼンは光の精霊と会ったことがあるの?」 「会ったことがあるといえばあるのだが、見たことはないというのが正しいかな。」 「・・・どういうこと?」 「光の精霊とは対面したことは無いということだ。」 淡々と語るゼンの話を聞きながら、カティは頭の中を整理する。が、全然理解が追い付かない。 ひとまず、ここにいる分には安全ということは分かった。 けれど、これからどうしようか・・・。家に帰りたいのはもちろんのこと、まずは無事だということを知らせる必要がある。 「さっき言った通り、私は誘拐されたの。運良く逃げられたからこそ、無事だということを伝えたいの。何か方法はあるかしら・・・?」 「そうだな・・・精霊の力を借りて伝えることが出来るかな。」 「そうなの?!是非とも力を貸してほしいわ!」 「了解した。・・・風の精霊よ、ここに。」 そうゼンが言うと、ゼンの前にキラキラとした粒状のモノが舞い始めた。
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