私…誘拐された?!

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ダグと決めた段取りはこうだ。 今日の夕食はダグ以外の人間が持ってくる手筈になっている。 見張りには憔悴しきったように見せて、いつも通り食事を終えたあとは縛られること。 見張りが出ていったあとに、窓の鍵を開けて脱出口を確保する。 あとは、時間が来るまでおとなしくしていること。 やることは少ないが、準備としては慎重に行う必要がある。 時間の把握については、この部屋には時計がないため難しいと思われたが、カティにとっては大きな問題ではない。 集中すれば、遠くにある時計の鐘の音は十分に聞こえる。 先程、遠くで鐘の音が11回鳴ったのを聞いたから、実行の時まであと1時間・・・。 あと準備することとしたら、動きやすい格好にしておくこと。 元々着ていた服は丈が足首まであるワンピースだった為、ダグに言って用意してもらったナイフで丈を短くするしかなかった。 「この服は、お父様にねだって買ってもらったモノだけれど、背に腹は代えられませんわ・・・。」 脱出の準備は出来た。あとは時を待つだけ。 カティは心を落ち着けるように、ソファにもたれかかり目を瞑った。 ボーン、ボーン・・・ 24時の鐘が鳴り始めた。 カティは念の為、入口近くにいる見張りが動き出さないか確認した。 見張りは近くにいる誰かと談笑しているようで、部屋の事など気にしているようには聞こえなかった。 見張りの確認も取れたので、カティは事前に開けておいた窓に手を掛け、音が出ないように開ける。 椅子も窓側に置いておいたので、すんなりと外に出ることができ、ダグに言われた通り右側の壁伝いに進み裏口へ向かった。 今日は新月で月明りもなく、辺りはかなり暗いうえに風が強い為、カティが動く音も草が擦れる音でかき消される。 「(抜け出すには絶好のチャンスですわ。)」 館の角が分かるように壁に手を添えながら歩いていくと、壁の途切れる場所に着いた。 耳に感覚を集中させ、周囲に人がいないか確認する。見張り交代の声を掛けに行っているのか、辺りには誰もいないようだ。 壁の途切れたところから外壁側に身体を寄せて、裏門のところまで辿り着いた。 裏門から出ようとした際に周りには気配がないことが分かっていたが、何故か不安な気がしたので後ろの裏口を確認してしまった。 その瞬間、裏口のドアノブが下がる音がした。 ガチャリ――。
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