ガイアの森に住む獣

2/7

5人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
光る大木の前で意識を手放したカティが目を覚ましたのは、太陽が頂点に昇った頃だった。 目を覚ましたカティの前に居たのは、鹿だった。 「わっ!!!!!!!!」 思いがけない目の前の状況に、淑女の欠片も無い声が出た。 その声に気付いた鹿が目を開いた。 「目が覚めたか。『主』はこの精霊の木魔力にあてられて気を失ったらしい。」 人語を話す鹿を目の当たりにして、カティは固まった。 「(鹿が喋った・・・。いや、それもだけれど精霊の木?魔力?)」 情報量がありすぎて眩暈がする。 魔力は分かる。この世界には精霊の力を借りて魔法を使うことができる。 魔法を使うには15歳の成人の儀の際に精霊と契約を結ぶ儀式を行う必要があり、この国の義務でもある。 ただ、精霊の木というのは初めて聞いた。 「精霊の木というのは、この木のことよね・・・。なんの精霊が宿っているの?」 「この精霊の木は光の精霊が宿っている。もう数百年この地を守ってきている。」 「光の精霊?!本当に存在しているの?」 光の精霊はこの世界の最上の高位精霊とされており、伝説級と言われている。 伝説級と言われているだけあり、現在契約している人間はいない・・・はず。 そんな夢幻と思われている光の精霊がここにいるというなんて・・・信じられるはずもない。 「君はまだ成人の儀を終えていないから、精霊の魔力が強すぎて耐えられなかったのだろう。」 「確かに私はまだ成人の儀は行っていないわ。でも、そんなこと分かるの・・・?」 「まとっている魔力で分かる。君の魔力はまだ何物にも染まっていないからな。」 カティは、まとっている魔力と言われて自分の手のひらをまじまじと見たが、特にこれといって何も感じない。
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加