どれみ姉は噂に微笑む

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✽✽✽  ……どれみ姉の家は、星矢の自宅から徒歩1分。走る必要などゼロだが、感情に身を任せてつい全力疾走してしまった。こんなに走るのは、学校の体力テストで持久走を行う時か遅刻寸前の時だけであろう。  と、汗だくになりながら星矢は玄関先のチャイムを押した。ピンポーン、と音がする。……あれ、出て来ないな。どれみ姉不在か?  しばし待つ間、どれみ姉の家を見上げる。木造住宅の家。壁装は白く屋根はグレー。まぁ、家はともかく庭が物凄い。庭には雑草や謎の木が生い茂っている。空き家と勘違いされても納得できるレベルだ。  この庭の面積なら、別荘にあるようなプールがここにあってもおかしくないだろう。なのに手入れをしないなんて……どれだけ勿体ないことか。  庭には倉庫もある。これも使用されていないのか? 少し錆びついている。でも鍵が付いているから管理はしているはず。……多少は。  にしても、この庭……。何というか、違和感がある気がする。ん、しかもこれって……。  ガチャリ、と音がしたのもつかの間。誰かが星矢の眼の前に現れた。 「あ〜星矢くんだぁ〜。ごめんね〜待たせちゃって〜」 「ひぁりゃう゛ぇ゛ぃ!!??」  やべぇ、変な声を出してしまった。どれみ姉、居たのかよ……。星矢は顔がトマトより真っ赤になっていくことを感じつつ、自分自身にどんな声出しているんだよ、ったく! と叱りつけた。というか落ち着け、自分。こんな時こそ冷静に! 「あ、どれみ姉。回覧板……」 「ん〜。サンキュ〜。……あ、ついでと言ってはだけどお茶でもいかが? ささ、上がって上がって〜」 「え、あ、ありがとう」  断るのが苦手で大抵イエスマンとなる星矢は、今日も断れなかった。お茶でもいかが、って……。おやつにチーズケーキ食べたばかりなのだが。ま、お言葉に甘えて、と星矢はドアの先へとお邪魔することにした。
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