運命の出会い

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 参加者からほっとした様なため息が聞こえた。講習は二時間、流石に煮るところからは出来ないのだろう。 「皆さんに煮大豆をお配りしますね。それと、試食用の豆もお配りするので召し上がってみて下さい」  佐々木の助手の女性が、皆にポリ袋に入った大豆を配った。 「まだ、温かいと思います」  ふっくらとした大豆を食べてみると、滑らかで甘みがあった。 「美味しい」  ぽつりと溢すと、佐々木が嬉しそうに微笑んだ。 「出来上がりは大体3kg程の塩分控えめで、甘味の強い味噌になるはずです。では、皆さんには煮大豆が温かいうちに頑張って潰してもらいます。拳で潰しても良いですし、お子さん達は足で踏んでも大丈夫です。中身が飛び出ないように、しっかり袋の口を持って下さいね」  それを聞いた子供達は一斉に足で踏み出した。私は言われた通りにひたすらグーパンチをくり出していた。 「結構な重労働ですよね」  助手の女性がにこやかに話しかけてきた。 「手首を痛めている母の代理で来たんですが、筋肉痛になりそうです」 「そうだったんですね。じゃあ、お母様のかわりに美味しい味噌、頑張って作りましょう」 「はい」
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