運命の出会い

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「ムラなく、しっかりと混ぜ合わせて下さい」  子供達はまるで砂遊びをやるみたいに握っては高いところからボールに向かって落とし、母達に叱られていた。 「では、味噌の熟成を促す為に、種味噌を煮汁に混ぜたものを少し入れていきます。また、しっかりと混ぜ合わせて下さい。この種味噌は、昨年に同じ材料で仕込んだ味噌です」  煮汁を混ぜた大豆は段々と、味噌らしく柔らかくなっていった。 「では、最後の工程になります。もう少しで出来上がりですから頑張りましょう。味噌を手にとって、ギュッと空気を抜く様に握って味噌玉を作ります。そして、全部握れましたらジップロックの袋の中に投げ入れていきます」  佐々木は固い雪玉を握るみたいに力を込め味噌玉を作り、袋の中に投げ入れた。 「入れたらまた拳で味噌玉を上から潰して空気を抜きましょう」  ギュッギュと力を入れて味噌玉を作る。この感触は泥団子や雪玉を作った時の事を思い出させる。周りの大人達も子供達に負けないくらい楽しげだった。私も、小さい頃はあの子達みたいに母とお菓子作りをしたものだった。毎日が楽しくて、新しい事にも臆せずやっていた子供の頃の自分がそこにいるかの様だった。
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