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『三年ぶりに連絡が来たと思ったら……。味噌、まだ作ってたんだな』
「うん。ごめんね、急に」
新が今どんな表情で話しているのか気になった。
『味噌料理か。最近は何か作った?』
「えっと、今日は味噌炒め。というか、そればっかり」
久々に聴く新の声はこんなに低かっただろうか。少し、耳がこそばゆい。
『なるほどね』
「思いついたらで良いんだけど」
逃げ腰の私に新は思わぬ事を口にした。
『じゃあ、琴音の家で料理するってのは?』
「えっ」
『味噌食べてみたいし。ああ、結婚してるとか彼氏とかいる?』
「どっちも無いよ!」
食い気味に言ってしまい恥ずかしい。でも、新は気にする様子もなく分かったとだけ言った。
『どう?』
「うん、いいよ」
『今週の日曜日は家にいる?』
「今週末?」
三日後に来るというのか。慌てて部屋の中を見渡す。
『その次だと出張で東京にはいないかも』
「そっか。じゃあ、今週の日曜日にお願いします」
『何その言い方。住所を間違って覚えていたら困るから送ってくれるか』
「分かった」
『そういえば、家の近くにスーパーあったよな? 昼にそこで待ち合わせな』
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