皮肉屋の味噌トンカツ

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 コンビニの冷凍ラーメンが美味しかったと会社の先輩に言われて買ったものだ。立ったついでに紅茶を淹れようとポットに手を伸ばすと電話が鳴った。新からの電話でどきりとする。 「もしもし?」  明日の予定がキャンセルになる事を覚悟した。 『明日、トンカツでどうかな』 「トンカツ?」  予想外の言葉に素っ頓狂な声を出してしまった。 『そう。嫌い?』 「嫌いじゃないよ。トンカツ好きだよ」 『分かった。どうせなら良い肉がいいと思って、専門店来てるんだ』 「えっ、わざわざごめんね」 『いや。わざわざお前ん家に行くからな』  口の悪さは変わってないらしい。 「ありがとう」 『おう。卵と小麦、パン粉はあるか? あと蜂蜜』 「パン粉は無いわ」 『分かった。買っていく』  電話の最中に、たまに店員と話すよそ行きの声が聞こえた。 「明日は直接、家に来る?」 『ああ、そうだな』 「分かった」 『ああ、じゃあな』  電話が切れる直前に「ありがとうございます」と新の声がした。
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