皮肉屋の味噌トンカツ

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 新は初対面や他人には人あたりの良い顔を見せるが、親しい間柄には辛辣過ぎる言葉を使い、たびたび友情が壊れる瞬間を見た。私がシュウとの事を知った時も、それはそれは切れ味鋭い言葉に涙したものである。本人は傷つけようという意識はおろか、正論で相手を屈服させよう等とは微塵も思ってはいないらしい。 「トンカツか、楽しみだな」  空に薄光りが差したのが見えた。  次の日はカラッとした青空が広がっていた。一番暑い時期は過ぎたとはいえ、バルコニーに出ると日差しで干からびそうなくらいだった。掃除機をかけ終わると、丁度良くインターフォンが鳴った。 「久しぶり。暑かったでしょ」  わざわざ来てくれて有難うという言葉を飲み込むと新がにやりと笑った。 「これ、材料」 「あ、ありがとう。いくらだった?」  新は靴を脱ぎながら、「いらない」と素っ気ない。 「いいお肉なんでしょ?」 「俺が食べたかったから。手洗い貸して」 「あ、うん」  新はリュックから真っ黒なエプロンを取り出してさっと身につけた。積もり積もった話をする気はないらしい。 「腹減った。早速作ろう」  お腹が空くと口数が減るのを思い出した。
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