運命の出会い

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運命の出会い

 シュウと女の子達が揉め事を起こしているとか、シュウが相手を妊娠させたとか、嫌な噂が度々流れた時もひたすら知らないふりを決め込んだ。私とシュウの関係を知っていた人間は、歪んだ笑みを浮かべて「別れて正解だったね」と言った。侮蔑と憐れみを含んだ言葉にため息しか出なかった。  今まで週末は出かけていた娘が冬休みの間中、家でごろごろしているのを見かねた母が、「ちょっと食べてみない?」とスプーンを差し出してきた。 「何これ。味噌?」 「そうなの。友達から貰ったんだけど、手作り味噌なんだって」 「ふーん」  ジャムの空き瓶に詰められていた味噌は、スーパーマーケットなどで見るのと変わらなかった。さして興味も湧かなかったが、それが母の何気ない優しさなのだと気づいた。 「どう」 「うん。美味しい」 「でしょ? それでね、私も手作り味噌を作ってみたくて教えてもらった料理教室を予約しちゃったんだよ」 「へえ、いいじゃない」 「うん。それがさ、メイの散歩で腱鞘炎になっちゃって。私の代わりに行ってくれない?」  メイとは実家で飼っている柴犬の名前だ。
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