113人が本棚に入れています
本棚に追加
お弁当を食べ終え、元の道へ戻りまた歩き続ける。お腹が満たされると、少し心の余裕が生まれる。
「あーリュック軽くなった!」
「あんなにあれこれ詰め込むから」
「だって、ロロに食べてもらおうって思ったら色々と詰め込みたくなったんだもん」
だもん、って。そうロロは思うが、なんというか、リアムはその肩までの髪のせいもあるが中性的な見た目をしている。そういう口調も似合ってしまうのだから不思議だ。
それにしたって、偶然旅に出ることを知ったからといって、そんなふうに一緒に行こうとか、お弁当を作ってあげようと考えるなんて、ロロにはわからない心境だった。
出会いから衝撃で、強引なリアム。
アナも、初めて会った時、そんな風に明るく強引にロロに近づいてきた。
他人を寄せ付けないように生きてきたロロに、土足でズカズカと心の中に入り込み、どかっと椅子を置いて座り込んでしまった。そんな感覚。
不意に、アナのことを思い出してしまい胸が詰まる。
顔は全く似ていないが、その強引さと明るさは、似ているのだ。こうして、結局同行を許してしまっているのも、そのせいなのかもしれない。今更ながらそう分析する。
最初のコメントを投稿しよう!