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「うわぁー! やっとついた! 街だ!」
リアムが歓声を上げる。ほとんど休むことなく歩き続け、夕方には街にたどり着いた。
王城がある都心のここは、とても栄えた街だ。
田舎道を抜けるとすぐにある王都に、一気に景色が変わるのだ。
王都が近いこともあって、あの村も物資の供給には困らず存続できているとも言える。
「俺、あの村からほとんど出たことなくってさ。あまりここにもきたことなかったんだ。だからすごくワクワクする」
「僕も同じ」
「じゃあ、色々と見てまわりましょ。でも、先に今日の宿を探す?」
「そうだね」
はしゃぐリアムに少し圧倒されながら、喧騒の中にいる自分に少し居心地の悪さを感じる。いつも静かな場所にいた。他人との関わりも絶って孤独の中に生きていた。アナはそんなロロのことを理解し、静かに過ごしたいと思う時には黙ってそばに居続けてくれていた。
そんな生活を続けていたため、この喧騒の中では胸がざわつく。
静かなところで落ち着きたい。
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