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「その・・・・・・ごめん」
「ううん。部屋をノックしたけど反応なかったし、寝ちゃったんだろうなって思ったから。でも、朝までぐっすりだったなら、夕飯も食べ損ねたんだよね。お腹空いたでしょ。何か食べに行こう」
「・・・・・・ん」
確かにお腹は空いていた。死にたいと思っていても当たり前にお腹は空くのだ。人間の体というのはなんとも面倒臭い。
「昨日一人で色々と見て回ったんだ。美味しそうなところ探して一緒に行ってみようと思って」
「・・・・・・そう」
「やっぱ王都だからだろうね、本当に色々あって選びきれなくて困ったよ」
リアムは一人でも十分に楽しそうだ。一人は寂しいと言ったが、リアムなら一人旅でも十分に楽しめただろう。むしろ一人の方が気ままで自由だったんじゃないだろうか。
歩きながら、あれこれと街を説明してくれた。昨日会った人にこう教えてもらった、ここは夜になるとーーと、たった一夜でさまざまなことを仕入れてきたようだ。初対面の人間ともその持ち前の明るさですぐに打ち解けたのだろう。
「ここ、モーニングやってて、すごく美味しいって教えてもらったから、今朝はここにしようと思って」
そう連れられてきたのは、おしゃれなカフェだった。カランカランと扉が開くと音がする。エスコートされるように中に促されると、可愛らしい女の子が対応してくれる。
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