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「ロロ、愛してる。貴方の幸せが私の幸せなの」  そう言って明るく笑いかけてくれた年上の最愛の恋人。一生そばにいて、一生愛し合うのだと思っていた。そう決めていた。  しかし、その最愛の人を病で亡くし、生きる意味をなくしてしまった。  病が発覚してからも最後まで笑って逝った強い人だった。  内気なロロとは正反対の明るく天真爛漫な彼女、アナ。ウエーブがかった長い栗色の髪。  画家としてここ、オーバン王国のアンドラ村でささやかに暮らしていたロロの全てが彼女だった。  彼女を亡くし、二年ほど月日は経っていたが、時間が解決してくれるなんて嘘で、喪失感は日に日に増していく。彼女のいない日々に楽しみなんて見出せず、生きていく意味もわからない。
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