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「分かった、じゃあ、それでいいや、俺は君のことヴァンって呼んでもいい?」  その言葉はすっと自分の中に入ってきた。会ってからまだ一分足らず、それなのに目の前のこの人はあまりにもすんなりと自分の心の中に入ってくる。刑事のように人から話を聞きださなければいけない仕事をしているとこういう資質が必要になるのかもしれない。 「はい、もちろんです」  嬉しくなってそう答えた。ロイが握ったままの手に力を込めて(うなず)いた。 「よし、じゃあ、これからよろしくな、ヴァン」  その言葉と共にロイが手を放した。 「おはよう」  そのとき、また別の人間が部屋に入ってきた。三十代後半、そろそろ四十代に差し掛かろうとしている感じのくたびれた男だった。線は細く、荒事を手掛ける強行犯係には似つかわしくない。 「おはようございます、班長」  またエリーが挨拶をした。その言葉で思わずぎょっとした。まさかこの人が班長と呼ばれている男だとは思っていなかったからだ。 「おはよ、当直お疲れ様」  男はそのまま窓際にある誕生日席まで歩いていたが、その途中で自分を捉えた。 「あれ、君?」
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