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「おはようございます、本日付けで配属されましたヴァン・クレイグです」  男はその眠そうな(まなこ)で自分を一通り眺めた。 「ああ、君がヴァン君ね、俺はヴィンセント・ノックス、階級は警部補、よろしくね、君は俺の班の所属になるから」  風体(ふうてい)に違わずぼんやりとした口調だった。 「はい、えっと」  ただどぎまぎしていた。ノックスはまだこちらが何も知らされていないことを悟ったらしい。 「あれ、まだ誰も彼に何も説明していないの?」  ノックスのぼんやりした声でロイとエリーは苦笑した。 「まだ、皆会ったばかりですよ」  ロイだった。それを聞いてノックスがゆっくりと(うなず)いた。 「そっか、じゃあ、ざっくり説明するね、ここは刑事課強行犯係、俺の苗字からとって通称はノックス班、班長は俺、本当は君も入れて七人いるんだけど、まぁ後の三人はおいおい紹介するよ」  ノックスは空いているいくつかの机に目をやっていた。 「直接の上司は刑事課長のキンバリー・フィスク警部、だけど彼女は上や横との調整業務が主だから、ほとんど外には出ない、だから現場の指揮はだいたい俺が執っている」
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