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 言葉を切ると、彼は首を傾けて首をこきりと鳴らした。 「扱う犯罪は、暴行、傷害、喧嘩とかだいたいそんなのばかり、殺人や強殺、強姦事件なんかもあるけど」  そう言ってからノックスは鼻から息を抜いた。 「あとは、そうだなぁ、知っていると思うけど、基本は二人一組で動くことが原則、だから君はそこにいるロイとバディを組んでもらうからね」  分かっていると言わんばかりにロイが首を縦に振った。 「まぁ、とりあえず今はロイが抱えている事件もないから、後で署長と刑事課長に挨拶に行こう、あ、それと君の席はそこ、エリー君の正面ね」 「はい」  言い終わるとノックスはどかっと椅子に腰を下ろした。どうすればいいのか分からなかった。変な緊張がその場に流れている。 「ところで、ヴァン」  ロイが沈黙を破った。 「はい」 「ヴァンの能力は何なの?」 「はい、E型のスイッチフットです」 「ああ、あれか、便利だな」  そんな会話を続けながら、三年前にオルディス教場(きょうじょう)で受けた司法職員候補生訓練の一幕を思い出していた。
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