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「ああ、ああ、うわああ」  (ほの)かな熱が残った彼の身体を抱えながら絶叫した。  どうしてデクスターが死ななければいけなかったのか。もっと早く彼を見つけてやれたら、自分が店側の損害賠償請求を取り下げさせてやれていたら。こいつはここまで追い込まれなかったのかもしれない、死なずに済んだのかもしれない。 「大丈夫か? ヴァン」  背中からかけられた声で振り向いた。そこには手を差し伸べているトーマがいた。  少しの間、何も言わずに彼を見上げていた。  なぜ撃ったのか、そう問いかけたい気持ちはあった。だが、トーマはただ自分の仕事をしただけだ。捜索命令と同時に射殺許可が出ていた以上、トーマのやったことに違法性はない。 「トーマ」  そう(つぶや)き、デクスターの遺体を床に置いて立ち上がった。彼の手を握らずに。 「ヴァン?」  立ち上がった自分をトーマが呼んだ。だが、答える気になれなかった。トーマに責任がないことは分かっている。それでも、デクスターを射殺した彼の顔を見る気になれなかった。  どうしていいか分からないまま、とぼとぼとした足取りで出口に向かった。
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