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 緊急車両やパトカーが次々と集まってきていた。自分がいた廃屋の周りにはキープアウトと黒字で印字された黄色いバリケードテープが張り巡らされている。  外に出ると、そのまま階段の手すりに寄りかかった。何がいけなかったのか、どうしてこんなことになってしまったのか。答えのないその問いを頭の中でひたすらに考え続けた。  もし、この社会が厳罰化政策を取っていなければ、デクスターは軽微な罪で済んだかもしれない。そうすれば、あいつは人生をやり直せたかもしれない。人生に絶望して、更なる罪を犯そうなどと考えなかったのかもしれない。あいつを凶悪な殺人に走らせたのはこの社会の制度そのものだったのかもしれない。 「ヴァン」  階段下から自分を呼ぶ声がした。神妙な面持ちをしたロイだった。 「すいません、でした」  もっときっちりと謝らなければならないと頭では分かっていた。だが、心はその考えについていっていない。 「お前、怪我してるんだろ? 病院に」  ロイがそう言ったとき、不意に春の日差しが自分を照らした。なぜかは分からないが、その瞬間、心の中に抱えていたものが(あふ)れた。 「俺の、せいです」
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