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もう一度これから自分が入る職場を見直した。何も変わってはいなかったが、さっきに比べれば大分輝いて見えた。きっと、初心を思い出したせいだろう。
自分が立っているのはちょうど公道から車寄せへと続く入り口だった。そばには生垣が張り巡らされており、黄緑がかった正木が四角く切り揃えられている。
さっき古臭いと評した建物の入り口には両開きの自動ドアがあった。その上には屋根が張り出している。そこにはオルディス警視庁ブラスポート警察署と書かれていた。
その文字を見てまた心が躍った。自分はこれからこのブラスポート警察署の刑事になるのだ。それは念願だった。いわゆる刑事になりたい、そう思ってオルディス警視庁に入庁したからだ。
胸の高まりを抑えながら、車寄せに続くアスファルトを歩いていった。正面入り口の自動ドアの前で立ち番をしている二人の制服警官が自分を見ている。見慣れない顔だ、きっとそう思っているのだろう。
自動ドアの前で歩みを止めた。二人の内の一人、自分よりも少し背の高い男が自分に近寄ってきた。
「失礼ですが、どのようなご用件ですか?」
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