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彼女の二言目はさっきに比べればかなり柔和な口調だった。安心か、仲間意識か、そんなところだろう。
「はい、よろしくお願いいたします」
言って勢いよく頭を下げた。やる気のある感じのいいやつだ、そう思ってもらうことは何一つマイナスにならないからだ。
「頑張ってね」
そう言うと彼女はまたカウンターの奥にある書類に目線を落とした。
「はい、ありがとうございます」
大声を張り上げてから踵を返し、エレベーターに乗り込んだ。
三階のエレベーターホールを右に曲がった先は廊下だった。ちょうど正面入り口と直角に交わるように三階を貫いているらしい。
廊下の長さに比べると、扉の数は少なかった。僅か二つしかない。一つは自分から見て右手五メートルくらいのところにあり、扉の上に警備課というネームプレートが嵌まっていた。
こちらではなかった。だとすれば、廊下の奥にあるもう一つの扉に違いない。朝の出勤時間とは思えないほどがらんとした廊下を歩き、もう一つの扉の前に立った。その扉の上には刑事課というネームプレートが入っていた。
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